2013年 冬号
【卒業式・入学式にふさわしい、先生の和装トレンド】
袴のコーディネート&着付けのコツ
卒業式で見かける袴姿の女性の先生、凛として素敵ですね。昔は珍しくなかった"古くて新しい"正装。先生はほかの職業の人よりも、卒業式、入学式と袴を着る機会が多いので、レンタルばかりでなく購入する人も多いそう。
そこで、"大学生のお嬢さん"の卒業式とはひと味違う品選びのポイントと着こなし情報をお届けします。
主役は卒業する児童 控えめな色柄で品格を
和装は、決まり事も多く、奥の深いもの。まして、卒業式・入学式というセレモニーに先生という立場で装うなら…。着物のリサイクル・レンタル・販売、また中学校の和装教育支援にも力を入れている東京山喜の代表取締役社長・中村健一さんに聞きました。
「卒業式の主役は卒業する児童さん。先生は送り出す側ですから、控えめな装いがふさわしいですね。おすすめの着物は、色無地(写真3・4)か、鮫小紋(写真1)のように無地と同じように使える江戸小紋。または、オーソドックスな小柄の銘仙(写真2)。少しくだけたとしても矢絣まで。袴は、えんじや紺、緑、紫などの無地やぼかし(濃淡のグラデーション)のものを選べば、品のあるすっきりとした着こなしに。格調高い印象になります」
袴は寒い体育館でも暖か 足もとにはひと工夫
底冷えのする体育館での卒業式なら、寒さ対策も考えたいもの。
「袴は、下に着物を着ているのでかなり暖かいと思います」と日常的に和装で過ごしている中村さん。
「さらにスパッツなどのインナーを着用すれば万全。土足が認められている式場なら、ブーツを履いてもいいですね。ブーツは若いお嬢さんの卒業式の流行りというわけではありません。明治時代から靴をはくスタイルはありました。今年は、NHK大河ドラマにも登場するということで特に流行りそうですね。袴にブーツを合わせるなら、草履のときよりも10センチくらい短め、くるぶしよりも裾が上になるように着付けると、足さばきが良くなります。白足袋にぞうりだけでは冷えるので、和装用ストッキングで防寒を。卒業式、入学式と、ほかの職業の方よりも先生は袴を着る機会も多いので揃えてもムダにはなりませんね。入学式も主役は児童さんですから、控えめがおすすめですが、季節柄、卒業式よりも明るい色を選んでも」
袴は、振袖などの着物よりも着付けがカンタン。ちょっと差のつく正装で卒業生をお祝いするのもいいですね!
Q:着こなしのポイントは?
A:後ろ上がりで背中に丸みを作って
●着物は、おはしょりを長めにとり、袴の裾から見えないように短めに着付けて
●帯は半幅帯を使い、文庫に結んだ上に袴を乗せて背中に丸いふくらみを出し、胸高に身につけるときれい
●帯の上に袴がきちんと乗っていないと、だらしない印象に。横からみて後ろが高く、前が下がっていればOK。この「前下がり、後ろ上がり」がきれいに着こなすポイント
Q:価格の目安は?
A:新品かリサイクルかレンタルかで違います
●生地などによるので一概にはいえませんが、着物と袴を新調する際の相場は、仕立代を入れて10万円前後からがひとつの目安です
●例えば、新品無地袴は 7000円台から、新品仕立て上がり鮫小紋は 30000円台から、新品仕立て上がり江戸小紋は50000円台から。また、安価なリサイクル品では、色無地着物は 5000円台からあります。レンタルでは、着物、袴、長襦袢、小物で 10000円台からあります(東京山喜の場合)“袴にブーツ”は明治時代からのモダンなスタイル
明治時代から女学生や“職業婦人”に親しまれてきた袴。当時も足もとは草履かブーツを合わせていたそう。今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公、綾瀬はるかさん扮する「山本八重」も、袴にブーツや靴を合わせていた行動派。今年は袴とブーツが流行りそう。