2012年 初夏号

School Focus

【校内で起こる事故を防ぐには?】

危険に気づかせる習慣とルールづくり

新学期が始まり、活気づく校内。授業中だけでなく休み時間やそうじの時間など、校内で起こる事故に、より注意が必要な時期でもあります。実際に校内で起こった事故事例を参考に、事故防止を考えました。

わが子の校内事故69・9%が「経験あり」

 小学生を持つ母親へのアンケート(サンプル数103※)で「校内で衝突や転倒、ケガをしたことがあるか」を聞いたところ、69・9%が「ある」と回答している。

 「体育館でかけ足中に、端に寄せてあったネットに足がひっかかって転倒、前歯が欠けた」(兵庫県・4年)、「教室で同級生が閉めた扉に、指を挟んで骨折」(東京都・2年、4年)、「トイレのドアの前で、よそ見をしていたらドアが開き、おでこを切った」(滋賀県・3年)など、大きなケガになったケースも多く見られた。

 「窓ガラスを割った、蛍光灯が割れて落ちてきたと聞くと、しかたがないことだが、怖いなと思う」(大阪府・3年、6年)、「子どもが教室の窓を開けて外を見ていると、落ちないかドキドキする」(千葉県・3年、6年)など、心配をする声も多数。「授業時間がオーバーして休み時間が短くなると、遊びや教室への移動で子どもが急ぐので気をつけてほしい」(兵庫県・3年、5年)などの指摘もあった。

事故事例を参考に施設面の対策も

 文部科学省が平成21年3月にまとめた「学校施設における事故防止の留意点」では、施設面からの事故防止策を提示している。階段やバルコニーなどからの転落事故、人対人、人対モノがぶつかる衝突事故、転倒事故や挟まれ事故、落下物による事故、遊具における事故など、校内で起こりやすい事故に対して、教室や階段、廊下など施設ごとに、設計段階からや現状でできる対策を例示している(表参照)。

 このようなハード面だけでなく、専門家によるアドバイス(別項参照)を参考に、学校の実情に合わせたソフト面での対策が必要であることは言うまでもない。

施設面での課題と対策(例)

施設・場所課題例対策例
ガラス(衝突する可能性があるもの)ガラスが破損する・手すりや格子などの防護柵を設置する。
・植え込みや棚などを設置し、近づきにくい環境をつくる

開口部(蝶番側の隙間)挟まれる・覆いを設置して隙間を隠すなど配慮する
(引き戸等)指が挟まれる・ストッパー等を設置し、引き残しを確保する
階段(吹抜けに面したもの)転落する・転落防止の側壁、手すりを設置する
・ネット等により転落を防止する
天窓(児童が近づく恐れのあるもの)上部に乗り、転落する・周囲に防護柵を設置する
・落下防護ネットを設置する

※「学校施設における事故防止の留意点」付録(文部科学省、平成21年3月)から抜粋

※サンケイリビング新聞社の女性ネットワーク組織「リビング・パートナー」のうち、小学生の子どもを持つ母親(首都圏・近畿圏在住)対象に、2012年3月23日~28日にwebアンケートを実施。コメントの( )内は居住地、子どもの学年。

事故事例から安全教育を考える

兵庫教育大学大学院・教授 西岡伸紀さんに、実際に母親から寄せられた事故のケースから、学校でどのように対処し、安全教育につなげるかを聞いてみました。

Profile/日本学校保健学会理事・編集委員、日本安全教育学会理事。日本セーフティプロモーション学会理事。

Case1:衝突

廊下で出合いがしらにぶつかり、相手の子の頭が子どもの眉間に当たり、腫れた(大阪府・3年、6年)

【1】衝突により、どんなことが起きるかをリアルに伝える
痛み、出血、歯の欠損、鼻の骨折などのケガをしたり、壁やガラスとぶつかり、転倒や階段から転落したり、他人にケガをさせてしまうこともあることを具体的に説明します。
【2】どこで、どんなときに起きるのかを考える
校内での事故発生状況や〝ヒヤリハット〟の事例を踏まえ、相手が見えにくい場所などを明らかにします。遊びに行くとき、競争しているときなど、どんなときに起きるか、高学年では、興奮している、急いでいるなど心の状態を取り上げても。
【3】習慣づけ・ルールづくりを
危険な場所を知り、走らない、人が出てこないか確かめるなどの習慣づけをして。危険個所は掲示し、掲載方法を定期的に変えることも効果的。これらの指導は時間をとって、丁寧にしたいものです。廊下の柱や壁の角に緩衝材をつけたり、子どもの移動動線を変更するようなルールづくりも大切です。

Case2:滑りやすい床面

廊下がつるつると滑るので、水にぬれると転びそう(千葉県・1年、3年)

【1】滑りやすい場所を特定する
手洗い場の周辺や、水切りが不十分な雑巾やモップによる掃除の後、ワックスがけの後、雨天時の玄関近くの廊下、開いた窓からの雨の吹き込みなど、ぬれやすい場所や状態を特定。転倒するとどうなるかを衝突と同様に具体的に説明します。
【2】水を散乱させない工夫を
雑巾やモップの使用時は水切りを十分に行い、ぬれた傘の置き場所を限定するなどして、水を散乱させない工夫を。ワックスがけの場所への立ち入りは禁止。ぬれた場所をみつけたら、自分で拭く、教職員に連絡するなどを教えましょう。
【3】すぐに拭くことができる対策も
安全点検時にもチェックして、手洗い場などぬれやすい場所では、近くに拭き取り用の雑巾やモップを用意。また、滑りにくい材質に交換したり、滑り止めのシートや足ふきマットを敷いたり、床面の色を変えたりして注意を促しましょう。

※サンケイリビング新聞社の女性ネットワーク組織「リビング・パートナー」のうち、小学生の子どもを持つ母親(首都圏・近畿圏在住)対象に、2012年3月23日~28日にwebアンケートを実施。コメントの( )内は居住地、子どもの学年。

 
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