チャイム 2013年春 首都圏版
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授業改善の大きな柱として、ソロタイム(独自学習)̶コミュニケーションタイム(相互学習)̶ソロタイム(独自学習)という学習過程を導入しています。 どの学年のどの教科でも、45分の授業の学習形態と場面をソロ̶コミ̶ソロと明確に分けることで、子どもたちが学習の見通しを持つことができ、安心して学ぶことができるようになりました。特に、コミュニケーションタイムでは、「聞く・話す」に重点を置き、温かい聞き方・やさしい話し方を指導したり、カードを使ったシンキングツールを活用したりするなどして、思考の広がりと深まりを図っています。 富田小学校では、第四中学校区の小中一貫教育の取り組みとして「いまとみらい科」を設置し、小・中学校9年間を4年・3年・2年の3つの発達段階で捉えて社会参画力を培っていこうとしています。各学校の研究をとりまとめる教員を配置し、教員の人事交流を図りながら各段階において次のような手だてで、児童生徒の学力向上を目指してきました。 総合的な学習の時間にかえて、「いまとみらい科」を設定しました。従来の総合的な学習の内容に、特別活動、道徳、キャリア教育などの要素を加えたカリキュラムを作成し、「家庭(命)」「学校」「地域・社会」という3つの学びのフィールドを設定しました。この学習によって、子どもたちに生きる力を培い、進路を切り開いていく力を育てようとしています。9年間を通して子どもたちを育てようとする教師の意識改革にもつながっています。 富田小学校では、3年間の取り組みを通して、子どもたちが生活や学習で主体性を発揮するようになりました。校長を先頭に全教職員で、「学校に来ることを楽しみ、学ぶことを楽しむ子どもを育てよう」を合い言葉にして研究に取り組んだ結果、児童には学校をもっとおもしろくしたいという意欲が向上してきました。その結果、児童会も活性化し、自主的なあいさつや言葉のやりとり 小中9年間を通してS RPDCAの学習サイクルを導入して学ぶ意欲を育んでいます。 子どもたちが自分の立ち位置を見つめ(S)、広い視野から学習課題を見つけ(R)、計画し(P)、実行して(D)、結果を振り返ります(C)、そして次の学習にいかしています(A)。 子どもたちが課題を自分に関係のあることとして認識することで学習に積極的に取り組むようになってきました。また、学習の手順が明確になることで子ども同士のはげまし合いや学び合いが活発になり、人間関係も向上する効果にもつながっています。高槻市立第四中学校区の各小中学校では、文部科学省の研究開発校として研究を進めてきました。その中で高槻市立富田小学校では、高槻市小中一貫教育推進モデル校として、さまざまな取り組みによる学力向上計画が進められています。今回は、その3年間の成果を紹介します。学力向上ポイントその①「いまとみらい科」の設定学力向上ポイントその②S_RPDCA学習サイクル学力向上ポイントその③ソロ_コミ_ソロ元気な学校紹介こんな教育実践をしています大阪府高槻市立第四中学校区富田小学校 編̶も増えました。豊かな言葉のキャッチボールは心が育ってきている証といえます。小中9年間の最終学年(中3)の大阪府学力・学習状況テストでも、著しい進展が見られました。 教師、学校、地域といった子どもを取り巻く「環境」を整えることで、子どもは大きく変わります。富田小学校のような連携型小中一貫教育の取り組みは、確実に子どもの未来を育んでいました。研究の成果

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