チャイム 2012年秋 首都圏版
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授業力向上NAVI●CHIME STAFF ROOM● 単元「わたしの木」は、「見つけようまわりのふしぎ、広げようわたしのせかい」を3年のテーマに、年間で75時間をかけた、長いスパンの「そうぞう」(総合学習)の教材です。 動く・知りたがる・熱中するという3年生らしさを生かし、生活科で学んだ気づくこと、気づきを交流して、さらに深い気づきへと導くことに、観察や記録、調べることを加え、身近な不思議へのアプローチを試みたい。そこで、身近にありながら、通り過ぎることの多い校内の樹木を活用しました。 「わたしの木」を中心教材に選んだ理由は次のとおりです。 ①同じ場所で天候に左右されず継続して観察できる。②ほかの木と比べ、違いや同じ点がわかりやすい。③離れて全体を見る、近づいて葉、花、実、根を見る。木に来る鳥や虫を見るなど、多くの視点を与えられる。④触れる、においをかぐ、風の音や木漏れ日など五感を使う。⑤幹の太さを測る、木陰の温度を測るなど数値化できる。⑥変化のある・なし両方に気づくことができる。⑦専門家である校長の話を聞く、京都府立植物園など、関係機関との連携を図りたい。⑧街路樹に落葉樹が多いのはなぜ?など、学んだことを問題解決の糧にできる。年間の学習テーマで、校内の樹木を教材として活用。「わたしの木」の観察に、五感を使ったオリジナルのネイチャーゲームから、気づきを深める学習につなげる総合学習の指導例です。【3年 総合「わたしの木」の場合】校内の樹木を教材として生かす観察の視点を与え、より深い気づきに 月一回、観察と記録の時間を授業として確保。じっくり観察して画用紙1枚に記録し、3月には一冊の絵本に仕上げます。 劇的な変化を見せる木もあれば、ほとんど変化しない木もあります。3年生に必要な気づく力は、変わらないものにも向けられてほしいものです。 観察や記録は、ゲームと組み合わせると楽しみが増します。「クスノキをさがせ!」は、私が創作したネイチャーゲームで、樹木の個性に迫ります。 クスノキは、ナフタリンの原料にもなり、独特の薬品臭がします。これをヒントに捜索が始まりますが、これだけで特定することは、3年生にとってはかなり難しいものです。そこで、ヒントを追加することになるのですが、「遠くから見たらブロッコリー」のヒントで、子どもたちは屋上から樹木を観察しようとしました。 「春なのに落ち葉がいっぱい」のヒントでは、樹木の根元に注目しました。そして、「ごめんね」と話しかけて葉をちぎり、においを確認して薬品臭がすると、木の模様を調べて「クスノキ確保」の報告に誇らしげにやってきました。 気づきの視点を与えることで、さらに深い気づきへと導くことができたように感じています。創作のネイチャーゲームの事例「ボスの指令」を出す 諸君に重大任務を伝える。学校の中にひそんでいるクスノキを確保してほしい。ヒントはクスノキの葉だ。この葉と同じにおいのする葉を持って来たチームは合格だ。各チームに葉を与える。それから、ミッションを実行しながら、1年間観察する〝わたしの木〟を探して決めてほしい。それでは諸君の健闘を祈る! 「報告の仕方」を提示 「ボスに報告します。チームナンバー3年○組○番チーム、ミッションに成功しました。ひそんでいたクスノキを確保しました。証拠の葉がこれです。場所は○○です。なお、木の模様は○○でした」と報告せよ。楽しみながら個性に迫るミッション「ヒント」を出す①遠くから見たら「ブロッコリー」②においをかいでみると「タンスにゴン」③春なのに「落ち葉がいっぱい」樹木ハンター「クスノキをさがせ!」変化のないところも観察ヒント:「遠くから見たらブロッコリー」で子どもたちの観察行動が変わります捜査の手がかり:クスノキの葉は、においをかいで判別

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